第3話 事前調査の意味

第1話でも聞いたけど、浦安市は「第三者機関が効果を検証した」と言っているんだね?

市が「第三者機関に測定を依頼した」のは事実デス。
文化会館に試験設置した活水器から水を採取して、測定は (公財)宮城県公害衛生検査センターに依頼しています。

このグラフは空調配管の水に含まれる鉄分(サビ)を表していて「値が小さいほど良い」と思ってくだサイ。設置4週間で劇的に改善したことになっています(設置は2018/06/25)

つまり効果があったんですよね? どこが問題なんでしょう?

結果欄に「赤錆が黒錆化され」と書いてありますよね。でも、検査センターではそんな測定はしていないんです。しかも「赤錆の黒錆化」は、横浜市水道局が数年がかりの実験でも「確認できなかった」としている現象です

測定していないことが報告書に書いてあるの? それはマズいなあ

はい、マズいです。
他にも、浦安市は「第三者測定」と言っていますが、配管から採水したのは販売業者デス(採取者名が事業者)。市の立会も一人しかいません。
もし採取時にコンタミ(混入)が起きていたら、鉄分の測定を外部機関に任せても意味がないデス

不正を疑うなら、証拠が必要じゃないですか

コンタミがないことを説明するのは業者の責任です。
それに、ただ1度の測定では「外れ値」が出ることもあります。
この結果だと「鉄分量はふだんから低かった。第1回目の測定でコンタミか外れ値が出たので、改善したように見えるのではないか」と考えるのが普通だと思います

「ないことの説明」って、悪魔の証明じゃないですか

そうじゃないデス。
「採水容器が事前に開封されていないか?」「採水前に容器内部を洗浄したか?」など、基本的な手順に間違いがないことの確認で十分です。まあ、記録はないでしょうけど。

じゃあ、浦安市はどうしたらいいんですか?

他の施設で、業者が一切関わらない「再検査」を行ってほしいデス

それは疑いすぎじゃないですか?

そう言われるのも分かります。
けど、さっき言った横浜市水道局の報告が、浦安のケースととても似ているんです。
横浜市水道局では「業者が関わった測定」では良い値が出て、業者のいない測定では「効果を確認できなかった」という実験があるのです。

??? 詳しく聞きたいな

3-1.横浜市水道局の調査

横浜市の調査結果は「文書一覧」にありますけど、全部読むのは大変だから要点だけ説明しますネ

はい、お願いします

ものすごく簡略化したのが下のリストです。横浜市は調査を2回行っていて、2回目の方が「詳細な検証」ですが、そこでは業者の主張する効果は確認できなかったのデス

  1. 横浜市水道局は2012年に1回目の「活水器」調査をした
    ・活水器の販売代理店(水道局OB起業)との共同研究
    ・水道水の塩素濃度が改善したという結果が出た
    ・この結果が「業者の宣伝に利用されているのでは?」と厚労省から質問状が来た
  2. 横浜市水道局は2018年に2回目の「活水器」調査をした
    ・水道局だけで設置・取水・測定を行なった
    ・水道水の塩素濃度の改善は確認できなかった
    ・赤錆が黒錆に変わるという現象は確認できなかった

なるほど……横浜市はこんなに大規模な調査をしているんですね。販売業者が1回調べただけの浦安市はちょっと根拠が弱いなあ
浦安市はこの結果を知っているのかな?

6月の市議会では何も言ってなかったですね。
「知っている」なら説明する責任があると思いますし、「知らない」なら再検討する必要があると思いまス!

なるほど