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5-2. 検証第1段階(1)

では横浜市水道局の「検証第1段階」を見ていきましょう。

  1. 実施者: 横浜市水道局、株式会社アクアエンジ
  2. 検証期間:2012年9月〜2013年9月
  3. 検証場所:菅田配水池
  4. 設置対象:昭和37年度敷設の鋳鉄菅(CIP)
  5. 研究課題: NMR工法における配水管における赤錆防止および残留塩素提言防止効果等に関する検証を行う
  6. 研究方法:3つの測定箇所で1年間、継続的に採水し、塩素濃度、鉄分値を測定する

いきなり難しくなった……

大丈夫です。順番に説明しマス!
まず重要なのは「4.設置対象」ですね。この「鋳鉄菅(CIP)」は、前のページの「鉄菅」の一種です。

ああ、内側全体がサビるやつだね。

そうデス。
市街地の配水管に図1のように設置しました。左が上流で右が下流。装置の上流で1箇所、下流で2箇所の測定ポイントを設定しています。

図1:横浜市水道局の報告書(2013年)より。

う、うん。ここまでは何とか。

塩素濃度

次に重要なのは「塩素濃度」ですね。

そうそう、「サビを防ぐ装置」なのに塩素がどう関係するの?

水道水には殺菌のために微量の塩素が含まれていることはご存知デスね?
この塩素はサビと反応すると減少します。
そこで「活水器がサビを防ぐなら、副作用で塩素濃度の低下が抑えられるのではないだろうか」という理屈ですね。

なんだか遠回りな説明だな。
「活水器」にはそんな使い方もあるの?

ないデス!
「サビが減るなら塩素は残るだろう」とは、業者側の空想にすぎません
これ以前にそういう使われ方をした事例はないし、業者側も基礎実験をした形跡がないですね。
だいたい業者が「効果範囲は150m」と言っているんだから、効果範囲が短すぎて実用は無理です。実験するまでもなく「使えない」と分かっているものを、なぜ検証が開始されたのか、不思議なことだらけです。
(追記)
残留塩素低減の実験例があるとの情報提供がありました。
調査したところ1997年に静岡県内のスイミングプールに設置されていました。
この実験では採取方法が不明であること、設置前の測定値が示されていないこと、給水が循環水方式であることなど実験条件が異なります。
また、錆と塩素濃度の相関についても言及がありません。

えっ!? それじゃあ、業者の利益になることを、何の科学的根拠もないのに、横浜市水道局が無料で検証してあげたことになりません?

ご指摘の通りデス!
「研究」を隠れ蓑にしたOB企業への利益供与を疑われても仕方ない枠組みですネ。

測定結果を詳細に見る

「活水器」を取り付けた配水管で、横浜市が1年に渡って塩素濃度を測定したのが図2のグラフです。

図2:横浜市水道局の報告書(2013年)より。

まず注目したいのが、測定地点ごとの塩素濃度ですね。
塩素は下流に行くほど減るので、測定箇所1・2・3の順に縦軸の値が小さくなっています。

測定箇所1・2・3は、グラフの中でだね。たしかに順に小さくなってる。
うん、それは分かる。

次に見てほしいのが「相関」です。塩素濃度は水温に応じて変化するのですが、グラフは気温が低い2月ごろは値が大きく、気温が高い7月ごろは値が小さくなっています。

おお、たしかに

そして、最も重要なのが「活水器の設置前後」デス。
活水器の設置前(10月〜11月)は測定地点2・3の塩素濃度が低く、設置後は塩素濃度が高くなっています。
測定地点1は「活水器」の上流側なので変化なしデス。
このグラフを根拠に、横浜市水道局とOB企業は「活水器に効果あり」という報告を書いたという訳です 。

話の筋は通っているね。

「一見すると」正しそうな気がしますよね。
でも、この検証には明確な「作為」が伺えるのです。

またそんな怖いことを。